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 香港国家安全維持法に強く反対する(2020.7.2 古謝 愛彦会員)

 

1 香港国家安全維持法の内容

 2020年6月30日、中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会の会議が「香港国家安全維持法」を全会一致で可決、成立した。

 そして、香港政府は香港返還23年直前の同日午後11時(日本時間7月1日午前0時)、同法を施行した。

 日経新聞によると、香港国家安全維持法のポイントは以下のとおり。

  ・国家分裂、政権転覆、テロ活動、外国勢力との結託を処罰。最高刑は終身刑。

  ・香港の企業や外国人、香港外の犯罪にも適用。

  ・中国政府は指導・監督のため香港に「国家安全維持公署」を設置。署員は香港で捜査を受けず、香港政府は必ず協力。

  ・中国政府は外国勢力介入など特定の状況下で管轄権を行使。本土で起訴や裁判も。

  ・学校、メディア、インターネットなどの監督・管理を強化

  ・香港の他の法律と矛盾する場合は国家安全法が優先

 

2 「一国二制度」の崩壊

 香港の返還や返還後の統治体制について中国とイギリスとが1984年に合意した文書が中英共同声明である。

 そこでは、中国本土の社会主義を香港には適用せず、「従来の資本主義体制や生活様式を返還後50年間維持する」と明記し、「一国二制度」が保障された。

 声明の趣旨は、香港の憲法に当たる香港基本法に盛り込まれており、言論や報道の自由、デモやストライキの権利など、中国本土では制限された各種の権利が認められてきた。

 ところが、今後は、共産党や香港政府への批判が「政権転覆」となったり、デモが「テロ」とみなされ集会の自由が制限されたり、民主派が欧米に支援を求める動きが「外国勢力との結託」として違法とされたりする危険性がある。

 実際、施行直後の7月1日、「香港独立」や2019年の大規模デモのスローガンだった「光復香港 時代革命」の旗やプラカードを所持していた市民が逮捕された。

 また、香港では外国籍の裁判官が多く、これまで「司法の独立」を担保してきた。

 ところが、国家安全法によって、今後は、国家安全にからむ事件を審理する裁判官は行政長官が指名することとなり、外国籍の裁判官が排除され、判決が常に中国寄りになる懸念がある。

 

3 「香港は死んだ 目に見えない戦車がやってきた」

 産経新聞の記事はこう指摘した。

 「2020年6月30日。目に見えない、中国の戦車部隊が静かに香港に進駐した。」

 記事では、6月4日、天安門事件の追悼集会を取材した際の、16歳の女子高生のコメントが載っていた。

 「(天安門事件について)戦車に男の人が立ちはだかる写真が印象に残っています」

 「今、香港人がその戦車の前に立とうとしているのだと思います。私はちょっと怖いけど・・・」

 記事の結びには、現地で取材している記者の想いが込められている。

 「怖くない人はいない。相手は見えない戦車だけに、どこから弾が飛んでくるか分からない。それでも、戦車に立ちはだかろうとする香港人たちは必ずいる。面従腹背の市民たちも、いつか仮面を脱ぎ捨てるときが来る。息の長い戦いになるだろう。国際社会もまた覚悟を迫られている。」

 「夜明け前が最も暗い-。最近、自らにこう言い聞かせる香港人が多い。2020年6月30日、香港は暗黒時代に入った。」

 

4 わたしたちにできること

 香港の女子大生で堪能な日本語での発信でも知られる周庭(アグネス・チョウ)さんは6月30日、ツイッターで、政治団体からの脱退を発表したうえで「絶望の中にあっても、いつもお互いのことを想い、私たちはもっと強く生きなければなりません。生きてさえいれば、希望があります。」とつづった。

 過去のツイートでは「私も、たくさんの夢を持っているのに、こんな不自由で不公平な社会で生き、夢を語る資格すらないのか。これからの私は、どうなるのか」「日本の皆さん、自由を持っている皆さんがどれくらい幸せなのかをわかってほしい。本当にわかってほしい」ともつぶやいた。

 いま、日本にいるわたしたちには何ができるのだろうか。

 とにかく、自由を持つ者の責務として、自由を守るために動くしかないだろう。

 声を挙げ続け、香港情勢に関心を持ち続けよう。

 自由を奪う香港国家安全維持法に強く反対する。

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