青年法律家協会岡山支部
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あらためて安全保障関連法案の廃案を求める声明

2015年9月11日

青年法律家協会岡山支部

支部長 弁護士 山本 勝敏

 

 本年8月27日、青年法律家協会岡山支部は、安倍政権が国会に提出し衆議院で可決され、現在、参議院で審議されている安全保障関連法案につき、明らかに立憲主義、国民主権に違反する違憲立法であることから、その廃案を強く求める声明を発した。声明後、8月30日には、国会前で12万人、日本各地で数十万人に達する法案「反対」抗議行動が行われ、今月に入り、山口繁元最高裁長官は集団的自衛権行使を認める立法は違憲と明言している。法案の廃案を求める国民の声は日毎に勢いを増し60年安保をもしのぐ状況にあるにもかかわらず、今月17日には参議院で強行採決の報道もされている。法案と国民の意思との乖離は明らかであり、強行採決を図るとすればもはやわが国は民主国家とは言えないから、非民主国家に転落する前にあらためて安保関連法案の廃案を求める。

 この度、内閣が提出している安全保障関連法案は、わが国が集団的自衛権行使に踏みだし、後方支援の名の下に米軍等の軍事行動と一体化し、自衛隊の海外派兵、自衛隊による海外武力行使へと安全保障政策を180度転換させるものである。
 これまでの政府見解は、憲法9条が戦争を放棄し、戦力を保持せず、交戦権を否認したことに鑑み、憲法の枠内では、外国からわが国が武力攻撃を受けた場合に限り必要最小限度の個別的自衛権行使が認められるに過ぎず、集団的自衛権行使は認められない、海外派兵も海外での武力行使も認められないとしてきた。今回の武力攻撃事態法改正案は、他国に対する武力攻撃にあたり、わが国がまだ武力攻撃を受けていないにも関わらず、わが国による海外での武力行使を認めるものであるから、ほぼ全憲法学者及び内閣法制局長官経験者並びに元最高裁長官が指摘するとおり、どう言い繕っても憲法9条に違反する。武力攻撃事態法改正案を可決すれば、どのような場合に集団的自衛権を行使するかの明確な定義もないままに、時の政府の総合判断によって、わが国は米軍等と共に海外で武力行使することにより殺し殺される国となるのであり、憲法9条のもとで国是とされてきた専守防衛、海外派兵・海外での武力行使の禁止に違反することが明らかである。
 これまでの政府見解では、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められるわが国周辺の公海及びその上空の範囲でしか米軍に対する後方支援活動はできないことになっていた(周辺事態法)。そして、その場合でも、わが国が米軍に武器、弾薬を提供することはできず、戦闘発進準備中の米軍機への給油もできなかった。これに対して、周辺事態法の改正案である重要影響事態法案では、「わが国周辺の地域」という限定を外し地球の裏側でも後方支援が可能となるだけでなく、後方支援活動は現に戦闘行為が行われている現場以外であれば認められることになる。他国軍への弾薬の提供や、戦闘に向けて発進準備中の他国軍機への給油なども可能となり、法文上、わが国が提供できる弾薬には劣化ウラン弾やクラスター弾も含まれ、わが国が輸送できる他国軍の武器弾薬には核兵器、毒ガスなどこの世の全ての兵器・弾薬が含まれる。今回の改正案は、専守防衛のもとで活動地域をわが国周辺地域に限定し、他国軍の武力行使と一体とならないように非戦闘地域での活動しか認めず、武器・弾薬の提供を禁止し、戦闘発進準備中の他国軍機への給油を禁止したわが国安全保障政策を海外派兵、海外武力行使へと大転換するものであり、憲法9条違反が明白である。
 国際平和支援法案、PKO協力法改正案にしても、わが国に対する武力攻撃がないにも関わらず、海外において、現に戦闘行為が行われている現場以外での後方支援、任務遂行のための武器使用などを認めるものであり、自衛隊の海外派兵、海外での武力行使に道を開くものであって、専守防衛、海外派兵及び海外武力行使の禁止に違反し、憲法9条違反が明らかである。

 衆議院、参議院でのこれまでの審議から安全保障関連法案の違憲性は誰の目にも明らかである。憲法論で破綻しながら、安全保障環境の変化を言い立てて安保関連法案を強行することは、安全保障政策は憲法の枠内で行われるべきであるにも関わらず、この関係を逆転させて安全保障政策に憲法を従属させるものであって、平和主義、立憲主義、国民主権主義を蹂躙し、わが国立憲政治に戦後最大の汚点を残すものであり、きたるべき参議院選挙における審判は避けられない。
 よって、青年法律家協会岡山支部は、参議院において、憲法尊重擁護義務に従い、国民世論を尊重し、国民代表者としての良識に基づき、安全保障関連法案を廃案とすることをここにあらためて強く求める。

以上

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